宅配・軽貨物の基礎知識
黒ナンバーの取得方法と必要な手続き&書類を解説
黒色のナンバープレート、通称「黒ナンバー」の車両は、軽貨物車を使用した運送業などを行う際に必要とされます。
運送業界は深刻な人手不足に陥っているため、黒ナンバーを取得して個人での運送業をはじめる人も増加傾向にあるのが特徴です。
配送の需要も高まっていることから、今後も黒ナンバー取得を検討する人は増える見通しです。
そこでこの記事では、黒ナンバーの取得方法と、必要な手続きや書類について解説します。
黒ナンバーの取得をご検討中の方は、この記事を参考に必要な準備を整えておきましょう。
黒ナンバーとは?
黒ナンバーとは、黒地に黄色文字を使って作られたナンバープレートのことです。
軽貨物車に取り付けることで、報酬をもらって荷物を運ぶ配達・運送などの「貨物軽自動車運送業」を行うことができます。
個人でも黒ナンバーを取得すれば軽貨物運送事業を開業できるので、誰でも運送業を営むことが可能です。
近年はアマゾンフレックスなど運送会社の委託依頼の普及によって、運送業の需要が高まっています。
しかし、運送業は賃金格差や長時間労働が問題視されていて、運送業の求人倍率はそのほかの全職業と比較して2倍近い差が出ているのです。
そんな中、コストをかけずに個人で運送業をはじめられる黒ナンバー(軽貨物)ドライバーに、多くの注目が集まるようになりました。
黒ナンバーを使用できる車種
黒ナンバーのナンバープレートを使用できるのは、車検証の用途欄に「貨物」と記載されている軽貨物自動車または125㏄越えのバイクに限られます。
一般的に販売されている新車・中古車であっても、用途欄が「貨物」であれば問題なく黒ナンバーの車両として利用可能です。
一方、通常自家用車として使用されるNboxやタントなどの軽自動車の場合には、用途の変更のために「構造変更審査」の申請が必要となることがあります。
黒ナンバー取得のメリット
黒ナンバー取得には、運送業の開業が行えることに加えて、さまざまなメリットがあります。
以下では、黒ナンバーの取得によって得られるメリットを解説します。
重量税・自動車税が軽減される
黒ナンバーの車両は、自家用車として使われる黄色ナンバーの車と比較して、重量税や自動車税が軽減される点がメリットです。
特に自動車税は毎年かかる税金であるため、金額の差が家計および事業の運営に大きく影響します。
また、黒ナンバーは営業用トラックについている緑ナンバーと違い登録免許税もかからないため、コストを抑えることが可能です。
一方で、任意保険は事業用の黒ナンバーの方が価格が高くなる傾向にあり、保険会社によっては自家用車の場合と比較して約3割~4割ほど高価になることがあります。
黒ナンバー車両の自動車任意保険を扱う損保会社も限定されるため、任意保険料の契約時には注意が必要です。
「黒ナンバー(軽貨物)の任意保険を取り扱っている保険会社と保険料」へのリンクを付ける
取得までの時間が短い
黒ナンバーは、取得までに多くの時間がかからないというメリットもあります。
提出すべき必要書類がそろっていれば、最短1〜2日程度で黒ナンバーの取得が可能です。
一般貨物自動車運送事業の許可を取る際には、平均で6ヶ月ほど必要になることを考えると、非常に短い時間で開業が行えることが分かります。
すぐにでも事業を開始したい場合などには、黒ナンバーの取得がおすすめです。
車両1台から登録が可能
黒ナンバーの申請は、車両1台からでも可能となっています。
複数台の車を事業用に準備する必要はないため、開業にかかるコストがその分抑えられます。
個人事業で一から運送業をはじめる人にとっては、車両台数のハードルが低い点はメリットです。
黒ナンバーの取得方法を解説
黒ナンバーを取得するには、特定の要件を満たした上で、必要な手続きを行うことが求められます。
そのためにまずは要件と手続きの流れを把握した上で、黒ナンバー取得のための準備を進めましょう。
以下からは、黒ナンバー取得のための要件と、手続きの基本的な流れおよび必要書類について解説します。
黒ナンバーの取得要件
黒ナンバーを取得するには、まず事業を行えるだけの環境を整えることが必要です。
具体的には以下のような要件があり、すべてをクリアすることで黒ナンバーの申請が可能となります。
- 営業所・休憩・睡眠施設の設置
- 車庫の設置(原則営業所に併設。不可能の場合には営業所から2キロメートル以内に設置)
- 車検証上の用途欄が「貨物」になっている車両が1台以上ある
- 適切な運送約款の設定
- 適切な運行管理体制の整備
- 損害賠償能力(「自動車損害賠償保険法等」に基づいた責任保険や責任共済への加入、そのほか任意保険の利用が推奨)
黒ナンバーを取得する際には、上記の要件を全て確認してから、取得申請を行うのがおすすめです。
ちなみに、バスや大型トラックなどの事業用自動車を使用する事業者のように、運行管理者や整備管理者などを設置する必要はありません。
黒ナンバーの取得に必要な手続きの流れを紹介
黒ナンバーの取得には、「運輸支局」と「軽自動車検査協会」の2箇所で手続きを行う必要があります。
まず運輸支局に必要書類を提出し、黒ナンバーに変更するための「事業用自動車等連絡書」に受領印をもらいましょう。
その後、軽自動車検査協会で手続きを行い、黒ナンバーの取得や名義変更等を済ませます。
運輸支局と軽自動車検査協会は同一敷地内にあることも多く、まとめて手続きを行うことが可能です。
黒ナンバーの取得に必要な書類について
黒ナンバーの取得手続きでは、運輸支局と軽自動車検査協会でそれぞれ必要な書類が異なるので、事前に内容を確認して準備しておきましょう。
<運輸支局に提出する書類>
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書(提出用と控え用の計2部が必要)
- 運賃料金表(提出用と控え用の計2部が必要)
- 事業用自動車等連絡書
- 車検証(新車の場合は完成検査証など、車台番号が確認できるものが必要)
運輸支局へ届け出た用紙の控えは、今後運送事業を行っていることを証明するために求められる可能性があります。そのため提出後もきちんと保管して、管理しておくようにしましょう。
また、運輸支局に提出する車検証に関しては、コピーでも問題ありません。
<軽自動車検査協会に提出する書類>
- 車検証原本
- 申請依頼書(代理人が手続きをする場合)
- 使用する黄色ナンバープレート(前後2枚)
- 運輸支局の受領印が押された事業用自動車等連絡書
- 住民票(法人の場合は法人謄本)
軽自動車検査協会での手続きには、上記書類のほか印鑑が必要となっています。
また、ナンバープレートの塗装一連に必要な代金(2,000円前後)が必要です。
ナンバープレート塗装費は、車をそのまま手続きに持っていく場合には、別途用意する必要はありません。
まとめ
黒ナンバーは、最短1日で完了するほどスムーズに取得できるのが特徴です。
事前に必要な工程や書類を把握できていれば、特に問題なく黒ナンバーの取得が行えるでしょう。
この機会に、黒ナンバー取得の基本的な流れをチェックして、軽貨物ドライバーデビューをご検討してみてはいかがでしょうか。
参考サイト
- https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/kyoto-honchosya/keikamotu.html
- https://www.logizo.co.jp/post/20200807-3
- https://www.ai-and-ai-chibatyuou.jp/blog/column/108168
- https://xn--jprz31c82x93etka.com/kei#黒ナンバー(軽貨物運送事業)とは?
- https://keinomori.com/news/kuro_number/
- https://car-me.jp/articles/11209?p=2
- https://cardealer.blog/business/gyomu-zigyo/
- http://unsou-gyou.com/index.php?黒ナンバーと取得の流れ
- https://www.mlit.go.jp/common/001242557.pdf