宅配・軽貨物の基礎知識
軽貨物車ってなに?軽自動車との違いや税金を解説
新型コロナウイルス感染拡大の影響で旅行業、飲食業、建設業など様々な業種に大ダメージを与えている昨今。
しかし、一方でECサイトの出荷量や個人宅配は、巣ごもり需要もあり急成長しています。
その個人向け宅配を支えているのが軽貨物運送業者です。
国土交通大臣または地方運輸局長の許可が必要な一般貨物事業に比べ、軽貨物運送事業は必要な届出をするだけで誰でも開業できるので、開業までのハードルが低く初期コストも低いメリットがあります。
今回は軽貨物運送業で取り扱う軽貨物車の特徴や、軽貨物車と軽自動車の違い、また税金についてご紹介します。
軽貨物車はどんな車?特徴は?
軽貨物車は、大きさが軽自動車の規格に該当する貨物車両のことをいいます。
軽トラックや軽1BOXを使用した宅配便がイメージしやすいのではないでしょうか。
ただし、どんな軽自動車でも軽貨物車に登録できるわけではなく、国土交通省の定める規格に該当する必要があります。
国土交通省の定める規格は下記の通りです。
- 荷物を置く床面積
後席の荷室の床面積が軽貨物車は1平方メートル、軽自動車は0.6平方メートルあれば可。 - 荷物を出し入れする側面と後部の面積
開口部の長さが軽貨物車は縦と横がそれぞれ800mm、軽乗用車であれば縦600mm、横800mm以上あれば可。 - 前後の座席を起こした状態で荷室スペースが後部座席よりも広ければ可。
この3つの要件を満たせば軽貨物車に登録できます。
ただし3の要件を満たせる軽乗用車は改造しない限り無いため、軽貨物車は必然的に軽商用車から登録することになります。
軽貨物車と軽自動車の違い
軽貨物車と軽自動車は何が違うのでしょうか?
外見上はもちろん税金面や車検等、違いはいくつかありますが、代表的な違いをご紹介します。
外見上の違い
軽貨物車と軽自動車の主な外見上の違いは、ナンバープレートを見ればすぐに分かります。
軽貨物車は黒色のナンバープレートに対し、軽自動車は黄色のナンバープレートになっています。
種類は農家などが使用される自家用と、運送業で使用される営業用に登録区分が分けられています。
また、軽貨物車は車の分類番号が4になるので、ナンバープレートで地域名の次に表示される数字は4○○になります。
構造上の違い
軽貨物車は荷物を運ぶ目的があるため、一般の軽自動車と比較して開口部が広めに作られています。
また、重い荷物を乗せる機会もあるため、サスペンションが固めのセッティングで、パネルやねじ類などに丈夫な素材を使われることもあります。
車自体も、軽自動車に比べてシンプルな外装で車重も軽く作られているため、トラブルに強く燃費も良いところが特徴として上げられます。
自動車税と自動車重量税の違い
軽貨物車は軽自動車に比べ、自動車税や自動車重量税が安く設定されています。
【自動車税】
自動車税は1年あたりの税金が3,800円です。
新規登録の自家用軽自動車でも10,800円の税金がかかるので、その差7000円が軽貨物車の大きな優遇措置になります。
【自動車重量税】
自動車重量税は初回登録及び車検毎に支払う税金です。
初回登録を除けば2年毎に支払うことになります。
軽自動車は一律1年あたりの税金が3300円となっています。
軽貨物車の場合は4ナンバー車の税率が適用されるため、1t以下の重量なら営業用2,600円、自家用なら3,300円です。
ただし1t以上2t未満の重量になると営業用5,200円、自家用6,600円となり軽自動車よりも割高になります。
軽貨物車と軽自動車の自賠責保険の違い
自賠責保険は初回登録時と車検毎に保険料の支払いが必要です。
軽自動車と比較すると、自動車重量税はほとんど変わりませんが、自賠責保険は高い傾向にあります。
自賠責保険は、2年毎に車の所有者に支払いが義務付けられています。
軽自動車の場合は25か月20,310円ですが、軽貨物車の場合は営業用小型貨物車扱いになるので、営業用で31,870円、自家用で23,870円と価格差が目立ちます。
これは、一般の乗用車に比べ使用頻度が高くなることが主な理由です。
軽貨物車と軽自動車の車検期間の違い
軽貨物車と軽自動車では車検期間でも違いがあります。
軽自動車は新車登録時から次の車検まで3年間空くのに対し、軽貨物車は新車登録時から次の車検までは2年間です。
新車購入時だけの違いで、次回以降は軽自動車も軽貨物車も2年間毎に車検が必要です。
ちなみに、普通貨物車は基本的には毎年車検が必要となるので、 軽貨物車は2年間に1度で済むというのは嬉しいポイントです。
まとめ
軽貨物車の特徴や軽自動車との違いについてご紹介しました。
軽貨物車は軽自動車と比較しても作りがシンプルな分故障も少ないので整備費用も安く抑えられ、自動車税は年間3,800円と良心的な値段であること等から、維持費の心配もあまり必要ありません。
「黒ナンバー」と代名されることもある軽貨物車は、コロナ渦で需要が拡大しています。
さらに、軽貨物運送は開業までの敷居が比較的低いこともあって、現在人気の業種になってきています。
これから軽貨物運送を始めようという方は、ぜひ参考にしてください。